あなたは絵がお好きですか?
小学生の頃からどんな絵を描かれていましたか。
描いた後、すっきりしましたか。
私は、小学校の図工の教員でありながら、絵を描くことには全く、自信をもっていませんでした。
大学は、美大に行ったわけでもなく、勉強嫌いで逃げるかのように、消去法で美術史の学科に行った程度。
手先は器用なほうだと思いますが、
絵の描き方が全く分からず、指導法にも悩むことが多かったです。
ありとあらゆる、いろいろな本を読むのですが、いろんな絵の講座に参加するのですが、どうしても自信を持てませんでした。
周りの先生方が、私の授業での子どもの作品をほめてくれることがたくさんありました。
でも、私は、根拠をもってやっているわけではなかったので、納得できず、まったくうれしくないのです。
5年ほど前、私は、体調をひどく崩し休職を始めました。
そのころ体調をどうにか改善したくて通いだしたのがアレクサンダー・テクニークの教室でした。
体をどうにかしたくて通いだしたのですが、そこは絵画教室でも何でもないのですが、
通っていると絵が好きになったのです。
絵を描くことは才能でも何でもないこと。
小さいころから絵を描いていなくても、美大に行かなくても絵は誰でも描けること。
絵に正解はなく、個人が描きたいように描けばいいこと。
理論に振り回されずに描けばいいこと。
以前は、余白をどうするか悩んだりして、難しく難しく考えすぎていましたが、とても簡単なことでした。
かといって、でたらめに描くわけではありません。
これはどこの絵画教室に行っても教えてもらえないことでした。
〇教えてもらったことは、まずは自分の体と仲良くすること、大切にすること。
体が固まっているのをやめることです。
自分の体を思い出して描いたとき、ゆとりをもって画面にむかうことができました。
その前は、頭の中で出来栄えばかりをきにしてしまっていました。
先日も体を思い出しながら絵を描いていると、
「次にこれをこうやって~」といった順序だとか、理屈を抜きにして、考えることを忘れ、色を選び、腕を自由に動かす、ということに夢中になることができ、とてもすがすがしい気もちになりました。(レッスンを受けながら描きました。)
その時、絵の楽しみって本当に無限だなあと思いました。
美術、という理論がなかったときには、古代の人もまたこんなふうに頭で考えることなく気もちよくえがいていたんだろうなあ、、と思うのです。
〇そして自分の思っていることを大切にすること。
正直になること。描きたいことを明らかにすること。
前は、自画像を描きたくもないのに、学校でやっていたからと言って描いたり、
興味がないのに、有名な建物を描こうとしたりすることがありました。
しかし、正直になり、毎日の生活で、ふと描いてみたい!という、
心から湧き出てくるテーマを選べるようになりました。
私は浅田真央さんのファンなのでその姿を描いたり、身近にいる尊敬する人を描いてプレゼントしたりしました。
旅先に行って力強い植物を見つけてうれしくなり、それを持って帰って描きました。
絵の教本に書いてあるとおりに描くことはなかったのです。
描いてみたい!と思うから、ワクワクするし、どんな風に描いていくかプランを練っていけるのです。
そして自分の体の動きや描きたい気もちを信頼して、そのまま誰が何と言おうとも描いていく、という冒険に出かけるのです。
・・・自分を信頼して、答えのない世界で前に進んでいく、、、これは生き方そのものだと思いませんか。
私はアレクサンダー・テクニークを学ぶ中で、「美術教育」という自分の仕事が生徒の生き方を導くことだったのだと気づき、この仕事に誇りと敬意をもつようになりました。
絵の教室に行かないで、アレクサンダー・テクニークの教室に行ってから絵が好きになった、というのは少し皮肉な感じもします。
絵の構図、色の使い方などは絵の教室で教えてもらえることなのです。
アレクサンダー・テクニークでは、絵に向かう前の、制作する前の体の使い方を教えてもらいます。
体の使い方を学ぶことで、
自分の体や心の軸をもち、主体的に描くことが可能になるのです。
先生の指示に従う絵でもなく、なんとなくきれいに見える絵でもなく。
自分の絵。正直な絵。
ぜひ、あなたもご自身の等身大の絵を描いてください。
それが一番、素敵な絵です。どこにもない絵なのです。
こういった体験のできる講座です↓