小学校の図工で、糸鋸(いとのこ と呼ばれる)を使う場面。
子どものころ、私は、怖くて、嫌だなあ、、、と思っていました。
壁飾りのようなのを作った覚えがありますが、
怖くて、適当に切って、刃を折ってしまいました。
刃を折ってしまい、周りの子から、「ああ、折っちゃったんだ~、、」と言われ、失敗しちゃった~!と思いました。
機械は、苦手だったなあという意識が強いです。
教える立場である先生の中にも、どうやって切っていいのか、わからない、という方もいらっしゃいます。
「落ち着いて、ゆっくり、焦らなければ大丈夫だよ」と言われても
怖いものは怖く緊張感はたやすくはとれません。
美術を指導する立場になり、私は、「木は糸鋸で自由に、デザインしたとおりに切れるのだ」ということを子どもに伝えてきました。
「糸鋸は、はさみと同じように、自在に切ることができる」
その可能性を知ったら、子どもはどんどん木工作が好きになることでしょう。
ぜひ、子どもたちや生徒さんにに伝えてほしいなあと思っています。
自分が指導するときの、主なポイントです。
①刃が上下に動いて切れる ことを確認する。
機械で、何が起こっているのかが、わからないから、怖いのです。実際に事前に刃を見てこれが上下に動いてそこに板をあてることで、切れていくのだ、ということを理解してもらいます。
②刃の面を意識してもらう。
刃の面があるので、その面と同じ方向になるように、板をセットして、板を回転しながら動かしていくことを伝える。
糸鋸の技術で必要なのは、刃の面に対して、デザインの線を素直に合わせ、回転させる、それだけです。
③ぎざぎざのところや、90度以下のところにきたら、逃げる。
②の面があるため、90度以下の角度のついた線は切ることはできません。板の端まで切ってしまうか、そのままバックして、最初まで戻っても構いません
例 ●のところにきたら、点線部まで切る。そのあと●から〇に向かって切る。次の〇印に来たらまた繰り返します。
④切っている時、刃が動いていて、切れている、その手ごたえを感じる。
切ることに夢中になると、板が切れていくことだけに集中しがちです。
しかし、切れている手ごたえ、感覚を受け取ることで、体で楽しむことを知ってもらいます。
⑤刃が鉛筆の線に触れている部分を見る。
「よく見なさい」と言われても、子どもはどこをどう見たらいいのか、わかりません。
よくわからないまま切るから、怖いし、線の通り切れなくなるのです。
動いている刃が、デザインで描いた鉛筆の線に触れる、その作品が生まれる瞬間を見るようにしてください。
「早く切り終わろう」という意識があったら、
「作品が生みだされていく」という意識と感動にきり変わり、
切る過程の一瞬一瞬に意義や喜びをもてるようになります。
⑥糸鋸の一定のリズムを知る。
ありがたいことに、糸鋸が働いて切ってくれるのであり、自分が切るのではありません。
機械のリズムを理解し、刃や機械が大変にならないように、ゆっくり板を動かします。
機械と協力する気持ちをもつことで、板が自在に切れるのです。
この指導法で、あきらかに3ミリ~5ミリずれて切っていた生徒も、すぐに線の通りに切ることが可能となります。
初めは個々のレベルに合わせて指導してあげてください。一度わかると、すぐに一人でできるようになります。
★★④~⑥については、道具の性質と自分とのかかわり方に関する指導となります。
どう関わると機械と関わりやすいか、お考えいただくと、ほかにも指導のアイディアはいくらでもあると思います。
これは、はさみ、彫刻刀、ほか様々な道具の使い方にも応用がききます。
丁寧にやりなさい、よく見なさい、 ということを言わなくても、丁寧に作らざるを得なくなります。
ぜひ、試してみて、報告いただければと思います。
またわからないことがありましたら、お問い合わせくださいね。