ネイルの依頼で、
時々、
風景を依頼される方がいらっしゃいます。
上のは、森の様子です。
緑や自然のお好きな方のご依頼でした。
今回、
紅葉のネイルのご注文をいただきました。
まだ、ほとんど色づいていないこの時期、
私は、写真を参考にして、
紅葉を表現することにいたしました。
およそ、写真を見ながら、
オレンジ、黄色、緑、赤などの葉っぱの色を
点描して、重ねて色を
置くことで描くことができます。
点描する筆は、
毛先がボロボロの筆。
あるいはフレンチ用の
斜めの筆のとがった先を使用します。
でも、私が、アートとして
志したいところは、うまい、
きれいにできるというところではありません。
そこに自分の感性が出ているかとか、
自分の心からの表現となっているか、
そういったことが大事だと思っています。
ですから、写真を見てできたからといって、
満足はいきません。
それは行ったことのない場所の
写真を見ただけで、
コピーをしたものに近い状態です。
しかもまだ暑い日もあったり、
半袖で大丈夫な日もあります。
季節の先どりをされた場合のネイルでは、
私自信も、その季節感を体験し、
その季節を味わう気もちをもちたい、
紅葉の美しさに近いものを見ておきたいと
思うのです。
そこで今回は、
公園にでかけ、
秋を見つけに行きました。
ここは、世界で一番古い木も
おいてあり、いつも
時空を超えた何かを感じるのです。
公園には、
緑の葉っぱのほうが多いですが、
赤いのもありました。
葉っぱは長い月日の中で
季節、温かい日、暑い日、
雨の日、さらには強雨、台風
・・・それらの自然の中で
生きている過程で色づいていくことを
ひしひしと感じました。
葉っぱの中には虫食いや
土埃、少し色が腐っているようなのもあり、
木や葉の美しさは
それらの生きざま
そのものだと自分は感じました。
地面にたくさんの枯葉が落ちており、
踏むと音がします。
踏む感触も
ふさふさした、
葉っぱの腐れ具合を感じることができます。
わずかな風が
葉っぱと葉っぱをこすらせて、
響く音。
葉っぱが風で左右、
上下に揺れるさま。
木でも途中で無造作に折れているものもあります。
葉っぱのかたまりのつきかたなど、
自然の形は言葉にするのには難しく、
計算された美しさでないことに
気づきます。(当然ですが)
こうした体験の後、
用意した写真を見ると、
全く違う感動が生まれます。
紅葉の写真を
どこかのきれいな風景、と
よそごとにする態度ではなく、
何て偉大な風景なのだ!
きっとこんな空気なんだろうなあ、と
あたかもその場にいるような気持ちで、
想像して写真を見ることができます。
「秋」「紅葉」と言葉でいう以上の
その空気感、
気配、自然の偉大さ
これらの体感をもとに
絵、ネイルアートに臨みたいのです。
この体感が技術より先行した時、
より良い絵が描けると考えています。
私は自然がたくさんある中に居を
構えているわけでもないし、
普段から風景ばかり描いている
画家ではありません。
むしろ想像画が多いので、
風景を描くときは近所に出かけて、
それを描く心構えくらいは
したいと思うのです。
これが絵の結果を大きく左右する
土台だと思っています。
形や色だけが整っている絵は、
生きている絵だと思えません。
紅葉している自然の有様に
心動き、
その感性でもって絵を描きたいのです。
これはお客様から依頼されて
そうしているのではありません。
そんなことをしなくても、
充分に喜んでいただけると思います。
私がやりたいだけでやらせていただいているのです。
納得できないというか、自分が面白くないのです。
特に自分と同じこと(公園の散策)を
していただかなくてもいいと思います。
ただ、それぞれのやり方で心のこもった
納得のいく誇れる仕事をすることで
みんなが幸せになれる、そう思っています。
お客様にさせていただいた紅葉のアートです。