私は、ネイルや美容に興味があり、
ボランティアのグループに参加します、と手をあげました。
しかし、当初、実際はどんな活動状況なのか、
具体的にわからないままでした。
ここでやるんだよ、
と紹介されたのは、精神病院でした。
私は、そこの目の前にたった瞬間、びっくりしました。
どうしてここに来ることになったのだろう??
ここは、私が通っていた場所であり、
たまたま縁が遠のいている場所でした。
私のような苦しんでいる人がたくさんいる場所であり、
そこに行ってお手伝いするのかと思うと、
涙が出そうになりました。
病気になってたくさん苦しんできた今までのことを思い出し、
しかし、その経験が今度は、
生かされる場面にきた瞬間のように思えたのです。
そんなことを感じて、精神病院の前に立っていた自分の姿は、
頭から離れることはありません。ずっと忘れないと思います。
今日は、私は4人の患者さんに
マニキュアをしてきました。
ちょっといつもとは違う局面に来ましたが、
私は躊躇(ちゅうちょ)せず、
頭をうまく使い、これまで学んだ技術を生かして、
道具を使い、爪の先をきれいにしてあげることができました。
「なんでこんな技術を学んだんだろう?」と思うことも多々あり、
「ネイルなんて、都会のお金持ちの人がやるものだ」
とも思ったこともあったのですが、
この、一見何ということもない、
誰でもできそうなネイルの技術も、
高い価値があったのだ、
本当に学んできてよかったなとつくづく思いました。
患者さんの中には、手が震えている人がいました。
口が震えている人がいました。
私も、震えながら仕事をしていたことがあり、
わなわな体が震えて、震えがずっととまらない時期がありました。
その時は、震えたいわけでもないのに、
体が勝手に震えてしまい、
とんでもない大変なことになってしまったと思い、
強い不安に陥りました。
私は、その患者さんの姿を見ていると
悲しくなってきました。
ここに来るまでに、すごく苦しかったんだろうな。
どうしてどうして、こんなことになったんだろう。
よっぽどの何かがあったんだろう。
過去に何があっただろう。
一体、こういう状態になるまで、こういう状態になるまで、
なぜなぜなぜなぜ??
と心の中で何度も何度も思ってそれはとどまることなくわきあがりました。
私は、ひどく震えている人が実際にいることを肌で実感しました。
精神的な病をもっている人は、こうやって、社会の裏側にいて、
テレビくらいしかから情報をもらうことのない私は、
近くにいてもその存在を知ることはなかったのです。
とてもさみしい社会の現実だなと思いました。
私は、家に帰って、ものすごく疲れて、ぐっすり眠りました。
起きると、まったく違う感じの自分がいました。
不思議でした。
2014年 5月