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逆境体験の痛み後に訪れる、
ポジティブな成長があるのをご存知ですか
今、この文章を読んでくださっているあなたは、
集団生活が苦手、
うつ病で仕事を休んでいる、
長年、体調不良で悩んでいる、
人前で緊張している、といった悩みを抱えられているかもしれません。
近年まで、
心理学においては
ストレスやネガティブな思考を取り扱うことが中心でした。
PTSD、統合失調症、などなど。
これらは体調の不調や健康を害することから、
治癒すべきものととらえられてきました。
私もたくさんの名前をつけられたものです。
- うつ病
- 躁うつ病
- 統合失調症
- 対人恐怖症
- 慢性疲労症候群
そういう心理的な問題を抱えていると、
健康な人と比較して
「自分だけではないか」
「自分は不幸ではないか」
と不安になりますよね。
でも、本当にそれだけでしょうか。
「ポジティブな心理的変容の体験」
近年の研究では、ストレスやトラウマの経験は、
人々にとって良い側面もあることが考えられてきました。
その一つがPTGです。
(テデスキ博士)
この研究の第一人者が
米・ノースカロライナ大学シャーロット校心理学部教授の
リチャード・テデスキ博士。
博士はポジティブ心理学が生まれる前から、
人生における大きな危機的体験や
大変な出来事を経験するなかで、
そのつらい出来事からよい方向、
成長を遂げるような方向に変化する人々の調査を行っているのです。
たとえば私の知人で、結婚相手から暴力を受けていた女性。
とてもつらい経験ではあったものの、
生まれてわずかの子どもを連れて出ていき、
裁判でたたかう経験を通して、
1人で自立して生きていく覚悟が生まれたり、
物事を自分で判断して生きていく力がつき、
今では、各地で暴力を受けた女性のための
支援事業を行っています。
こうやって逆境をばねに新しく力をつけて成長することを
PTGといいます。
PTSDとの関係
PTSDは、突然の不幸な出来事によって命の安全が脅かされたり、
天災、事故、犯罪、虐待などによって
強い精神的衝撃を受けることが原因で、
心身に支障をきたし、社会生活にも影響を及ぼす様々なストレス障害を
引き起こす精神的な後遺症、疾患のことです。
心の傷は、心的外傷またはトラウマと呼ばれます。
(杉浦こころのクリニックホームページより)
PTSDやつらい体験の中でもがき、闘い、向き合い、克服していく過程で
人は、人間とは何か、
社会はどうなっているかを追求していくことになります。
そういったことを経て成長の力、PTGもついていくのです。
ご自身のトラウマ、ストレスによる影響を
考えてみましょう
①トラウマによってあなたがもともと持っていた力が
失われたと思っていることはありますか。
私の場合、中学生の時、
体調が悪く、行きたくても行きたくても、
どうしても行けない状況になりました。
その説明ができない自分は、周りから怒られました。
学校に必ずや
行かなければならない圧力がある中で、
日々ひどく体調が悪く
無理くり行って
フラフラし、
同時にいつ治るかわからない不安が
膨大に膨れ上がりました。
病気になる前は健康のかたまりであり、
部活に励んでいました。
毎日家に帰ってもバトミントンの素振りをやり、
努力することについては
誰にも負けないところがありました。
でも、部活どころではなくなり、
私は「自信」を失うどころか
体調が一人でひどく悪いのだという
「劣等感」のかたまりに陥ったのです。
体調が悪いと好きなことはできなくなり、
死んだほうがましだと思いました。
②トラウマを経験したことにより、芽生えた新しい力はありますか。
自分の場合は、
過去の体験から、
不安モードがおさまることがなく、
大人になっても体はこわばり、
立つ、歩くことができなくなったのです。
どこか、横になれるベンチや畳があると、
私は横になって
周りの人が歩く姿を見る状態です。
自分はとてもみじめであり、
生涯治らないものと一度はあきらめたのです。
しかし、私はこの体調を克服するために、
心と体の緊張を改善し、
枠にとらわれないで生きていくことを学ぶ中で
誰よりも大きな「生きる喜び」を得られたのです。
それは「自分でいられる」ことという、
当たり前の喜びです。
このことを知らないで、本領を発揮していない人が
ほかにも多くいることを見てきた自分は、
こういった人のための場をつくれたらいいなあ、と
ぼんやり考えるようになりました。
1年半前、
ウイメンズプラザでワークショップをやることが決まった時は
夢がかなった気もちでいっぱいでした。
今もなお、協力してくれる人があらわれ、
「あきらめた身体への希望をとり戻すワークショップ」
これを継続できるのは、横になっている姿を、
何度もバカにされた経験が、
生きているからなのです。